「人生の意味」の論文(わかる哲学)

好きなことで稼がない理由に大したものはない

僕に必要だったのは、一歩踏み出す勇気だったのかもしれない。

およそ1年前、生き方を決める時期になった。
いろいろなものから自由になって、本当に好きで人生でやっていきたいこととして哲学と音楽が見つかり、それらを自由にできるような状況になった。

でも、それと同時に自分で稼いでいかなければならなくなった。
その段階で、好きなことすなわち哲学や音楽で稼ぐという道もあったが、僕はそういう道を選ばなかった。

好きなことで稼ぐ道を選ばなかった2つの理由

理由は2つあった。

  1. 好きなことで稼げるのかわからず、また難しく思えるから
  2. 好きなことで稼ぐと、好きなことがけがれてしまうから

当時はこのような理由で、好きなこと以外の稼げることで生活費は稼いで、空いた時間で趣味として哲学や音楽をやっていこうと考えていた。
でも、これらの理由はそんなに大したものではないと、ある時点で気がついた。

ここでは、僕の場合、すなわち哲学と音楽について、これらの理由が大したものではないということを論証してみる。
なお、これは好きなことが創作活動と呼べるもの、すなわちアーティスト・芸術家などを目指す人にとっては同じような議論になるかなと思う。

理由1:好きなことで稼げるのかわからず、また難しく思えるから

まず、1番目の理由について。
そもそも好きなことで稼げるかどうかは究極的にはやってみないとわからない。
もちろん、やってみたものの、本当に需要がなくて自分の作品が売れないということはありうる。

でも、確率的にそれは少ないかなと思う。
世の中にはいろんな人がいるから、自分の作品をいいと思って買ってくれる人はおそらくいるだろう。
特に、今はインターネットという素晴らしい発明品があるから、たいていの場合、どこにいても自分の作品を売ることができる。

そう考えると、ある程度実際にやってみて、自分の作品が売れるかどうか、需要があるかどうかを調べることはリスクとして取ってもいい。
いや、むしろ取るべきリスクだと思う。
もし、実際にやってみて、本当に需要がなくて売れなかったらそのときにまた考えてもいいし、おそらくその頃にはそういった経験を通して新しいアイデアを手に入れているに違いない。

そして、さらに、作品が売れなくても、「活動が売れる」ことがあるように思われる。
夢に向かってがんばっている人、好きなことや情熱を注げるものをとことん突き詰めて極めようとしている人、好きなことを楽しそうにやっている人、そういう人たちへの憧れというものは誰しもがもっている。
どうしても、最初の一歩が出なかったり、そもそも好きなことがまだ見つかっていない人が多いように感じる。

だから、彼らにとってみれば、夢に向かっている人はとても励みになる。
自分もやってみようかなとか、一歩踏み出す勇気になることもあるだろう。

そうやって、熱量というのは伝達していく。

たとえ商品が売れなくても、そうやってがんばっている姿は人の共感を呼び、助けてもらえるかもしれない。
たぶん世界はそうなっていると思うし、なっていないのであればそうなるように変えていきたい。
本気でやりたいこと、情熱を注げるもの、夢中になれるもの、本当に好きなもの、そういうものをもっている人たちが恐れずに、そういうことを思いっきりやって生きていける世界になってほしい。

したがって、1番目の理由は大したものではない。

理由2:好きなことで稼ぐと、好きなことがけがれてしまうから

次に、2番目の理由に関してはそんなことはないと言える。

もちろん、「稼ぐために作品を作る」ときに好きなことがけがれる可能性がある。
稼ぐためには「売れる」とか一般大衆の価値観というものを中心に考え、作品を作らなければならないから。
自分が本当に表現したいものを表現できないまま、自分の好きなことが商売の道具として使われ、すり減っていくさまを見届けなければならない。
こうして好きなことがけがれていくのだ。

でも、「作った作品で稼ぐ」ときには好きなことがけがれることはないと気がついた。
作品を作る過程で稼ぐということを意識しなければいい。
出来上がった作品はすでに自分の表現したいものが表現されているから、それを売っていくことは何も問題がない。

もちろん、この場合でも好きなことは商売の道具になるが、好きなことで食べていくには仕方のないことであるし、僕にとってはそれだけでは好きなことはけがれないように思われる。
これさえもけがれるからできないと言うのなら、そもそも好きなことで稼いでいくことは不可能になる。

結局、個人の価値観次第ということにはなるが、僕の場合は、やり方次第では好きなことで稼いでも、好きなことはけがれないとわかった。
よって、2番目の理由も大した理由ではなかった。

まとめ

以上の考察で、僕を引き止めていた2つの理由は特別大きなものではないということがわかった。

だから今、僕はリスクを大歓迎して、好きなことで稼いでいく道を選ぼうと思う。
そちらの方が、生き方として美しいとも思うし。

一歩踏み出す勇気が連鎖したら、世界はもっといいものになりそうだ。