「人生の意味」の論文(わかる哲学)

「やる気」について考えてみた② 〜燃え尽き症候群〜

燃え尽き症候群」という現象があります。

長い期間かけて大きな目標を叶えた直後などに、しばらくの間、何に対してもやる気が出なくなる現象です。
まるで、その人が「燃料」を使い果たして「燃え尽きて」しまったように感じられるのでそう名づけられたのでしょう。

僕も東大に合格した直後の1週間くらいはこのような状態になりました。

とにかくやる気が起こらず、部屋に引きこもって『FRIENDS』という海外ドラマをだらだらと観ていた気がします。
やらなくてはならないことがいくつかあったと思うのですが、体が拒絶するというか、ほとんど何も手につきませんでした

やるべきことはあるし、やるつもりもあるけど、なぜか実行できない。
まるで金縛りのような、自分の意志通りに体が動かないというもどかしい状況に次第にイライラしてきました。
わけのわからない状態に困惑し、苦しんでいたように思います。

ただ、今思えば、あのとき僕は燃え尽き症候群だったんだろうと思います。
「そういう現象が起こることがある」ということだけでも知っていたらもっと楽になっていたのだろう、と今は思います。
そしてさらに、納得のいく説明が用意されていたら救われていただろうなとも思います。

昔の自分は救えませんが、同じような境遇の誰かを救えたらいいなと思って、今回は燃え尽き症候群について軽く考察してみたのでそれを書いておきます。

燃え尽き症候群の原因

まず、「燃え尽き症候群」とは何でしょうか?
「燃え尽き症候群」とは精神的に燃え尽きてしまってやる気が出ない状態と言えると思います。

ではそもそも、この原因はいったい何なのでしょうか?

僕は以前、「大きな目標を達成した後は、他のことが相対的に価値が低いと思われて、やる気が出ない」と考えていました。
これも一つの考え方でよいと思うのですが、最近、やる気について考え、やる気には二面性があるということに気がついたのでそれも踏まえてみます

やる気の二面性についてはこちらの記事に書きました。
「やる気」について考えてみた① 〜やる気の二面性と恐怖心で動く僕〜

この記事では、やる気には二面性があるということを書きました。
具体的には、やる気には「肯定的なやる気」と「否定的なやる気」があり、前者は「〜したい」、後者は「〜したくない」というものでした。
これらを踏まえて燃え尽き症候群の原因について考えてみます。

まず、やる気の肯定的な側面から考えると、大きな目標・希望が達成されてしまったら、しばらくはどんな目標・希望も相対的に小さく見えてどうでもよくなってしまうため、「〜したい」という肯定的なやる気が出ないと考えられます。

そして逆に、やる気の否定的な側面から考えてみると、「〜になりたくない」という大きな恐怖から逃れられてしまったら、しばらくは大抵のことはそこまで恐怖に思えなくなり、どうでもよくなって「〜になりたくない」という否定的なやる気が出ないとも考えられます。

おそらく、燃え尽き症候群の実態はこのようなものだと思います。

燃え尽き症候群への対処法

さて、では燃え尽き症候群になってしまったらどうすればよいのでしょうか?
そこから抜け出す方法はあるのでしょうか?
以上のことも踏まえて、燃え尽き症候群への対処法についても考えてみました。

まず、燃え尽き症候群で困っているときは、やる気が出なくて困っていると思うので、ここでは「やる気を出すこと」が最終目標・ゴールであるとします

やる気を出す方法はこちらにまとめましたので、まずはこちらを試してみてください。
(後日、記事を更新します)

上の記事に書いてあることを試しても、やる気が出ない場合はどうしたらよいのでしょうか?

まずそもそも、やる気を出すべき対象について考えてみましょう
やる気を出してやらねばならないことはありますか?
そして、それはあなたにとって本当に重要なことですか?

当然、やるべき対象がなければ、そもそもやる気を出すことは無理でしょう。

またもし、やる気を出してやらなくてはならない本当に重要な対象があるなら、そこそこのやる気がすでに出ているはずです。
あまりやる気を感じられない時点で、その対象がそこまで重要ではない可能性があります。

ただ、厄介なのは燃え尽き症候群のときはこれだけでは片付けられないということです。
燃え尽き症候群になると、「いつもだったら本当に重要でやらなくてはならないこと」に対してもやる気が出なくなるからです。

燃え尽き症候群の自分から見れば、その対象がそこまで重要ではないからやる気が出ない。
しかし、いつもの自分から見れば、その対象が本当に重要でやるべきことである。

この板ばさみがあるから苦しいのかなと思います。
この苦しみを取り除くにはどうしたらいいか?

たぶん、一番有効なのは時間による解決です。

燃え尽き症候群は大きな恐怖から逃れたり、大きな希望を叶えたりして他の恐怖や希望が相対的に小さく見えることで起こる現象であると考えます。
なので、その恐怖や希望の大きさを測る「ものさし」が通常の状態に戻るまで待つのが自然な「治療」と言えるでしょう。

大きな恐怖や希望にある程度の期間触れていると、しばらくはそれらが他の恐怖や希望を考えるときの比較対象となります。
そのため、ほとんどの恐怖や希望は相対的に小さく見えるのです。

ただ、おそらく比較対象というのは徐々に変化していくので(おそらく最近の経験の平均値のようなもの)、いずれ比較対象としてそこまで大きな恐怖や希望を取らなくなると思います。
そのようなプロセスで他のことが次第に重要に思えてくるので、だんだんとやる気が出てくるでしょう。

まずはやる気が出ないことを受け入れて、きちんと食べて、きちんと寝て、何日か過ごしてみてください。
そのうち、じわじわとやる気が出てくると思います。

とても残念ですが、燃え尽き症候群には「特効薬」はないと思います。
「ものさし」を通常の状態に戻すためにもある程度の時間が必要なのです。

今までとてつもなく頑張ってきたがゆえにやる気が出ないのですから、今はその休養期間と思ってよく休まれてはいかがでしょうか。

まとめ

人間、何か大きなことをやり遂げたときは燃え尽き症候群にもなり、やる気が出ない期間が続きます
そして、燃え尽き症候群の原因には2種類あり、状況によって該当するものが変わってくるように思います。

例えば燃え尽き症候群になったときに、達成したことに対するやる気に否定的なものが多ければ、「あぁ、大きな恐怖心がなくなったから燃え尽き症候群になったのか」と納得できます。
逆に、肯定的なものが多ければ「あぁ、本当にやりたいことがなくなったから今はやる気が出ないのか」と思えるわけです。

そして、燃え尽き症候群には「特効薬」はなく、時間がもっとも効果的な「治療薬」だと言えるでしょう。

1 Comment

ホサカ ユウタ

このご時世、なんとか病やら症候群やらと昔にはなかった、流行りの言葉でひとくくりにまとめる。
なにかとその病のせいにしたりする。僕はそんな世の中が嫌いです。
人間が作り出した言葉で自分という人間が左右されないで欲しい。

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